お客さまのための、頑固。
理想を描く設計「デザイナー」。具現化する職人
「クラフトマン」。
たとえば、空間と強度、仮説と実証、あるいは進化と普遍。
相反する課題や地道な追究を、より高次元でかたちにするために、
私たちは、融通の利く頑固でありたいと思います。
自由な空間設計
吹き抜けと高い位置からの採光が魅せる、空間設計。
吊押入れ、吹き抜け、採光。視覚効果でより広い空間に。
デザイン性と機能性を兼ね備えた、造作棚付きのホビースペース
強さと美しさは共存する。吹き抜けや天井造作、柱のない空間は、部屋を広く見せることができるが、単に広いだけではなく、限られた坪数でいかに広く見せられるかが腕の見せどころ。しかしながら、積雪寒冷地において安全性と快適性を考慮しつつ、広がりを確保するのは一筋縄ではいかない。雪の荷重に耐える構造か。広い吹き抜け空間などにも適応する断熱性気密性が得られるか。シエルホームデザインならではの、広がりのある空間提案は、緻密に計算された構造躯体の選定と、それを高い精度で組み上げる職人の技術によって支えられている。
「検討から良い提案と品質は生まれる」
大工棟梁:長谷川 誠 × 空間デザイナー:堀江 龍弘 × 構造デザイナー:志田 美和子
空間 堀江/シエルでは一人のお客さまに対して、複数の設計士が入って提案しています。複数の設計士の話し合いと、それを作り上げる大工職人の対談ということで、今日は話を聞かせてください。写真の物件では、私を中心に空間提案をしながら、志田さんに構造の検討をしてもらいました。構造デザイナーとしての日頃のこだわりはなんですか。
構造 志田/構造材の検討など、施工性もしっかり考えながらデザインを行っているところが、こだわりでしょうか。真四角総二階の建物はあまりなく、吹き抜けや小上がりがあったりするシエルの建物は、すごく難しいです。最近は、木材をあらかじめ工場で加工してから現地で一気に組み上げる、プレカットと呼ばれる方法を取っていますが、シエルのプレカット図面のチェックは、かなり難易度が高いですね。
堀江/空間デザイン的には柱をできるだけ少なくしたいのに、構造上で必要という話は日々出ますよね。お互いの言い分を戦わせながら、よい提案が出来ていると思うのですが?
志田/まさにその通りです。ここは豪雪地なので、雪の荷重も検討が必要ですしね。そこは確かに設計と施工の戦いですね!(笑)
堀江/シエルの特徴である大きな空間は、断熱気密性能も重要になってきます。そのあたりを、日々のこだわりも含めて、長谷川棟梁どうですか。
棟梁 長谷川/現場のこだわりとしては、正確で速い仕事を心がけています。それと気密性能は、私たち大工の仕事で左右されますから、かなり気をつかっています。
堀江/当社では全棟気密測定を行っていますが、必ず棟梁にも同席してもらって、気密測定の過程や結果、今後のさらなる対策などを話していますもんね。
長谷川/気密測定はある意味、私たちの仕事の通信簿です。いかに工事途中で手をゆるめず、徹底して隙間をなくせるかで数値が変わりますからね。気密テープの貼り方ひとつで全然、変わってきますから、現場に入る大工以外の職人の気密工事指示も重要です。
水道工事、電気工事などは、外部と内部を貫通する工事になるので、私たち大工だけが頑張ってもダメです。うちに入ってくれる水道工事や電気工事の職人さんは、そのあたりも慣れてくれているので、よい連携で建物の性能向上をめざしていますよ!
堀江/協力業者さんとの連携はすごいですよね。ありがとうございます。

建築化照明

ルーバーから覗く照明と、食器棚に隠れる照明のコントラストで存在感のあるDKを演出。
ニッチの照明がダウンライトの明るさに深みを加える。
テレビステーションの照明が照らす天然石の壁は、リビングに高級感を与える。
背面から上る光は、
メラトニンの促進とともに快眠を促す。
床の間のダウンライトが
和室に上質な味わいをもたらす。
建築化照明と呼ばれる照明計画も、シエルホームデザインが得意とするひとつ。これは建築物の一部として天井や壁などに照明器具を組み込み、あたかも建築部材そのものが照明装置であるかのように見せる方法であり、当然、照明デザイナーと職人の阿吽の呼吸なくしては成し得ない。光の広がりを追求、ミリ単位の加工までこだわる二人に迫る。
「1邸1邸試行錯誤しながら、進化していく」
大工棟梁:蒲生 宗雄 × インテリアコーディネーター:堀江 紗夕望
インテリアコーディネーター 堀江/いつも現場ではありがとうございます。蒲生棟梁とシエルの建築化照明についてお話していきたいと思います。建築化照明を施工していく際に、特に気をつけているところはありますか?
大工棟梁 蒲生/建築化照明は私たち大工と照明デザイナー、電気屋さん、造作家具屋さんが、力を合わせて作っていくものです。連携が上手くいっていないと、きれいな収まりになりません。たとえば、照明デザイナーといっしょに配線の高さをミリ単位で決め、電気屋さんに電線を出しておいてもらう。その後、大工が石膏ボードを貼り、造作家具屋さんが入るという具合。大型の造作家具も多いため、日程をしっかり合わせないと、お互いの仕事の邪魔になってしまう。要所、要所の確認が大切です。
堀江/先日、私も他の棟梁に施工してもらった造作棚で、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)にとても気をつかいました。造作棚の中に、当社でも初めて使う細いLED照明を施工する場面です。いかにスマートに、自然に、光源を見せないよう棚を光らせるかが大事になるのですが、棚を壁に取り付ける前に、棚自体に器具を取り付けなければいけなくて。つまり、一度棚を取り付けてしまうと、やり直しが効かない!
蒲生/緊張しますね。
堀江/現場で何度もこまかい打ち合わせを重ねながら、確認を進めたので、とてもきれいな建築化照明になったと思います。担当の大工さん、職人さんに頑張ってもらいました。
蒲生/照明は光を点けてみないとわからないところが、難しいですよね。
堀江/そうなんです。完璧だと思っても、必ず点灯してみて、調整をしています。カットオフライン(光の切れ目の角度)を確認して、照明の角度や位置をミリ単位で調整します。光の飛び具合は図面上に表わしきれないので、現場での試行錯誤が必要になってきます。
蒲生/照明デザイナーとの試行錯誤は、光の反射率で仕上げ材を替えることにも多くありますね。明るく見せたいときは白の仕上げ材、落ち着かせたいときは暗めの仕上げ材に替える。現場でないとわからないところは多いですからね。
堀江/そのあたりは、やはり、自社のクラフトマンズ(大工)がいないと出来ません。すごく助かっていますし、デザイナーチームのスキルアップにもつながっています。建築は机上の勉強だけでは、わからないところが多いじゃないですか。
蒲生/むしろ、机の上でわかることは、ほんの一部だよね。
堀江/そうですね。それでは最後に、シエルの強みをお願いします。
蒲生/私たち職人の手で、想いを込めて、最先端のデザインと性能を提供しているところです。
堀江/試行錯誤を重ねつつ、より良いものを追求していきたいので、今後ともご協力をお願いします。
蒲生/こちらこそ、お願いします。

塗壁の技巧演出
手塗りの質感をそのままに、
世界に一つだけの床の間を演出。
深みのある色合いの天然石は白砂利との相性も◎。
アクセントとして取り入れた塗壁は、
独特な形の装飾で存在感を増す。
メタリック調のタイルが重厚感を付加させる。
吊押入れの化粧部は竹を敷くことで
高級旅館の佇まいに。
ニッチの天然石は、
色や素材でリビングの印象を変える。
シエルホームデザインが得意とするマテリアル使いといえば、石と土。一つひとつ色や大きさの異なる天然石の個性。壁に塗る厚さや手先の感覚で、まったく違った表情を見せる土のテクスチャー。常に新しい発想で提案を発信し続ける自社デザイナーと、求められる以上の技術で最高の家づくりをめざす職人。その仕事ぶりに貫かれているものは。
「妥協のない仕事が、感動を生む」
左官:中井 × 塗装:高島健一 × デザイナー:竹田洋介
デザイナー 竹田/現場ではいつも、きれいな仕事をありがとうございます。今日は業者会(※各現場が始まる前に、自社スタッフと関係業者が現場について話し合いをする場)の後、対談に協力いただきありがとうございます。今日は中井さんのこだわりを聞かせてください。中井さんには天然石を中心に、壁や床に貼ってもらっていますが、仕事をする上で大事にしていることはなんですか。
左官 中井/シエルで扱っているのは天然石が多く、石の大きさや形、色にバラつきがあります。いかに色の組み合わせが自然で美しく見えるか、自然石の魅力が引き立つかを大事にしています。
竹田/石の一つひとつで発色が違いますもんね。
中井/自然に美しく見せるということは、無駄なところに目がいかないようにしているということです。石は正方形や長方形ではないですから、そのまま壁の下から貼り上げていくと横のラインが右下がりになったり、凸凹して地層のように見えてしまうのです。できるだけ横のラインを真っ直ぐに貼り付けることで、ラインに目がいかないようにして、石の美しさを引き立てます。
そのために目地をモルタルで調整したり、組み合わせのよくない個所はミリ単位で削ったりしています。
竹田/完成してからではわからない工夫が、中井さんにはあるんですね。土壁の仕上げについて高島さんにお聞きしたいのですが。土壁は平らな仕上げではなく、わざと凹凸をつけて、光とのグラデーションを楽しめるように考えています。そんな土壁の仕上げで難しいところなどは。
塗装 高島/土壁は難しいですね(笑)。一発勝負ですから。クシ(※土壁に模様をつける道具)を引く速さ、強さ、気温、湿度でまったく違った仕上がりになるところでしょうか。夏は施工途中で固まっていく場合もあるし、冬は固まるまで長い時間がかかる。固まるまでの時間は発色にも影響するので、気温と湿度を読んで材料の調合や加工をしなければいけないです。
竹田/まさに職人の勘と経験が、ものを言いますね。
高島/難しい半面、楽しいところですね。中井さんも言っていましたが、私も横のラインには特に気をつかっています。水糸やテープを張って、平行を出すようにしています。
竹田/シエルの現場。入ってもらっていて、どうですか。
高島/職人同士の連携があって、よい雰囲気ですよ!
中井/シエルは若い人が多いから、まだまだ勉強しなければならないこともありますね!(笑)でも期待していますし、やりがいもあって楽しいです。
竹田/ベテランの職人さんにそう言っていただくと背筋が伸びます。私も頑張ります!(笑)今日はどうもありがとうございました。

食器棚は細かいご要望と使いやすさを兼ね備え、フルオーダーで製作
脱衣所に設けた衣類収納とひのきの天井が、脱衣所に付加価値を与える。
WICは、その収納力にストレスフリーな使用感をもたらす。
ホールに設けた本棚とカウンターが、お子さんの成長を手助けする。
引き違いの扉で、階段と収納を使い分ける。
生活を快適にするために重要な要素となる「動線」と「収納」。日常に密着しているだけに設計は難しい。実際に住んでからでないと判断がつきにくいからだ。シエルホームデザインでは、主婦として生活をおくっている設計士からのリアルな提案が、多くの共感を得ている。こまやかなヒアリングからの動線。お客さまの身長などに合わせてミリ単位でオーダーをかける収納。提案にも品質がある。それは、職人とデザイナーの協力体制からも語られる。
「大工とデザイナーの助け合いが大事」
大工棟梁:菊地 大輔 × デザイナー:堀江 幸
デザイナー 堀江/今回は当社の強みをテーマに話し合いたいと思います。よろしくお願いします。
大工棟梁 菊地/よろしくお願いします。私が思う強みは、監督だけでなく、デザイナーも現場へ行くことではないかと。一般的な住宅会社だと、監督さんが見ているのがほとんどだと聞きますが、「ここがわからない」というときに、デザイナーがきてくれると正直、助かります。
堀江/そうですか、ありがとうございます!こまかい収まりなどは図面で確認しきれないところがありますから、現場で大工さんと話すことで、よい案が生まれることもあります。
菊地/こまかい収まりの美しさは、空間全体に影響しますからね。そこはいつも気をつかっています。
堀江/いつも作ってもらっているような収納関係は、お客さまとの打ち合わせでかなりの詳細まで決めているので、大工さんは大変ですよね?
菊地/もう慣れました!(笑)最初は大変だったけど、苦労した完成を見ると、これならお客さまも使いやすいだろなーっと納得することが多いです。
堀江/収納関係で、現場で気をつけていることはありますか?
菊地/たとえば、木製カウンターの角。丸いのがよい人、シャープな方がよい人、好みがさまざまですから。作る人によっても多少違ってくるから、デザイナーと話して、シエルではこのくらいにしようと標準を決めています。最後はお客さまに現場で見てもらって、細部を調整しています。
堀江/私も、食器棚の引き出しを設計するときに、手の掛かるところを穴にするのか、斜めにするかを考えます。パッと見は些細なようでも、毎日使うとなると、見た目だけでなく、そういった手ざわりなんかも重要になりますよね。
菊地/そこはプロの腕の見せどころ。住んでもらった後から「ここ良かったよ」なんて言ってもらえると、すごく嬉しいです。
堀江/常に良い提案をして、良いものを作る上で、大事なところってなんですか?
菊地/やっぱり、こうやって設計と大工が話し合える環境がある、ということが大事だと思う。お互いに助け合い、良いものを作っていきたい気持ちが、会社の今の力になっているのではないでしょうか。
堀江/同感です。改善を進めることで、以前よりも設計のレベルが上がってきています。図面に書く内容がどんどん増えてきていて、今では図面が真っ黒です!(笑)
菊地/数年前より、かなり図面に書いてもらっているから、私たちとしてはとても楽です。
堀江/私たち設計だけでは気づけないところを指摘してもらえるので、改善が進み、より良いものを提供できていると思います!これからもよろしくお願いします。
菊地/こちらこそ!
