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COLUMN コラム

シエルホームデザインの取り組み

「泊まれる展示場」という発想|住宅会社が山形でホテルを運営する理由

「泊まれる展示場」という発想|住宅会社が山形でホテルを運営する理由

モデルハウスを見学したあと、こんな感想をいただくことがあります。「素敵だったけれど、実際に暮らすとどうなんだろう。」

もっともだと思います。展示場を歩く時間は、長くても1〜2時間。朝の光の入り方や、夜に照明を落としたときの空気、キッチンに立つ高さの感覚までは、なかなか分かりません。

当社は山形県内で2軒のホテルを運営しています。住宅会社がなぜホテルまでやるのか。その理由と、泊まって分かること・分からないことを、正直にお話しします。

なぜ住宅会社がホテルを運営しているのか

当社はハウスメーカーです。それが、山形県飯豊町と米沢市でホテルを運営しています。設計から施工、日々の運営まで、すべて自社で手がけています。

建物の持ち方は2軒で違います。飯豊は土地探しから自分たちで進めた施設で、米沢はテナントを借りたうえで、設計・施工・運営を当社が担っています。運営だけを外に出したり、できあがった建物に看板を掛けたりしているわけではない、という点は2軒とも同じです。

「設計して、建てて、経営までしている住宅会社は、けっこう珍しいと思います。」社長がそう話す通り、この形はあまり多くありません。設計事務所が意匠を手がける例、工務店が施工する例はありますが、そのあと客室を掃除して宿泊客を迎えるところまで同じ会社がやる、というのは稀です。

理由はシンプルで、自分たちがつくった空間を、お客様に「暮らす時間の長さ」で確かめてほしかったからです。

住宅の打ち合わせでは、素材のサンプルや図面、パースをお見せします。ただ、そこで伝わるのは見た目の情報が中心です。手ざわり、音の響き、朝と夜の光の差といったものは、実際にその空間で時間を過ごさないと分かりません。

「泊まれる展示場だったらいい」という発想

社長はホテルを立ち上げた動機を、こう話しています。

このようなホテルが、泊まれる展示場だったらいいな、泊まれる家具屋さんだったらいいな、というような気持ちで立ち上げさせていただいた。

「泊まれる家具屋さん」という言い方が、当社らしいところだと思っています。ホテルの家具やインテリアは、当社と、インテリアをトータルで扱う Gino FURNITURE & LIFESTYLE が全面プロデュースしています。ラウンジのソファも、客室の照明も、実際に触れて座って確かめられるものです。

これはインテリアコーディネーターとしての実感なのですが、家具と照明は、カタログの写真といちばん印象が変わる部分です。座面の硬さ、生地の落ち感、電球色が壁に当たったときの色は、写真では正確に伝わりません。

この章のポイント

「暮らしてみると普通になってしまった」という後悔は、家具と照明で起きやすい。だから写真ではなく、泊まって確かめられる場所を自分たちで用意しました。

飯豊と米沢、2軒のホテルで体感できること

ホテル内のスローラウンジ。当社が手がけた家具と照明で構成された、東北の注文住宅の空間づくりを体感できるインテリア
共用のスローラウンジ。家具・照明の選び方は、住宅の設計と同じ考え方でつくっています。

2軒は、性格がはっきり違います。どちらが良いというより、確かめたいものによって選び方が変わります。

HOTEL SLOW VILLAGE(飯豊) HOTEL SLOW VILLAGE YONEZAWA(米沢)
場所 山形県西置賜郡飯豊町大字萩生3549-1 山形県米沢市春日1丁目7番52号
開業 2016年(2026年で10周年) 2022年
客室 モデレートシングル(1名)/スーペリアツイン(2名) モデレートキング/プレミアジャグジースイート
特徴 飯豊連峰のふもと。スローラウンジ、カフェ、ライブラリー フロントのない無人運営。ワインサーバー、半個室のワークスペース

飯豊|自然のなかで「リゾートに住まう」を確かめる

2016年に開業し、2026年で10周年になります。飯豊連峰のふもとで、近くにはいいで天文台があり、晴れた夜は星がよく見えます。

当社が住宅で掲げている「リゾートに、住まう。」という考え方を、いちばん素直に確かめられるのがこちらです。旅先の高級旅館で感じるあの安らぎを、日常の家でも成り立たせたい。その手つきを、共用ラウンジやライブラリーの空気で感じていただけると思います。

米沢|フロントのない無人ホテルという形

2022年開業。こちらはフロントを置かない無人運営です。人を減らして手を抜いたのではなく、地方で宿泊業を続けるための現実的な設計です。

社長の言葉を借りると、「米沢市ですら人口8万人を割るかという地域で、地方においては大型の投資も、有人で運営することも難しい部分が多い。」無人化は、その条件のなかで施設の質を落とさないための答えでした。

プレミアジャグジースイートには、ロフトと2口IHのミニキッチン、プロジェクター、そして人工温泉のジャグジーがあります。

米沢のホテル客室。ロフトとミニキッチンを備えたスイートルームの内観と、住宅設計と同じ考え方で選ばれた照明
米沢のプレミアジャグジースイート。照明の色や天井高の感覚は、泊まってこそ分かる部分です。

正直な話|泊まって分かること、分からないこと

ここは誠実に書きます。ホテルは、住宅の展示場そのものではありません。期待して来ていただいたのに違った、という形にはしたくないので、限界のほうから先に並べます。

  • ホテルは間取りが住宅と違う。家事動線や収納量、子ども部屋との距離感は確かめられない
  • 断熱・気密の性能そのものは、泊まっても測れない。数字は気密測定やモデルハウスで確かめるもの

では何が分かるのか。素材・家具・照明・空間の寸法感、この4つです。壁や床に何を使うと数年後にどう見えるか、間接照明を落とした部屋の色がどう沈むか、天井高が変わると圧迫感がどう変わるか。ここは写真や図面より、一晩過ごすほうが早いです。

「性能を体感したい」というご希望であれば、ホテルよりモデルハウスをおすすめします。冬の朝に玄関を入った瞬間の空気、脱衣所との温度差といった、断熱と気密が効いている実感は、住宅として建てた建物でしか確かめられません。目的で使い分けていただくのが一番です。

人口6,000人の町に建てた理由

飯豊連峰を望む山形県飯豊町の風景。豪雪地である東北の自然環境を活かした立地
飯豊町は人口6,000人規模の町。あえてこの場所に建てました。

飯豊のホテルは、人口6,000人ほどの町にあります。宿泊業の常識で考えれば、もっと人の多い場所に建てたほうが合理的です。

それでも社長は、「人口6,000人の町に自分たちで作っているということが、誇りかなと思っています」と話します。ここは社長の地元です。

背景にあるのは「クールローカル」という考え方です。地方にあるものを、田舎らしさとして安く見せるのではなく、上質なリゾートとして捉え直して届ける。都会の真似をするのではなく、その土地の価値をそのまま高く扱う、という姿勢です。

この考え方は、住宅の設計にもそのまま流れています。豪雪地で、冬が長い。その条件を不利と考えるのではなく、雪景色が美しく見える窓の取り方、寒い外気があるからこそ効いてくる断熱の設計として組み立てる。当社が東北でしかつくれない家を目指しているのは、そういう理由です。

数字で確かめたい方は、モデルハウスへ

ホテルで確かめられるのは、空間と素材の質感でした。一方で、家を決めるときに欠かせない性能の数字は、住宅で確かめるものです。参考までに、当社の水準を挙げておきます。

項目 当社の水準
断熱(UA値) 最高グレードでUA値0.18(HEAT20 G3水準を上回る)
気密(C値) 実測でC値0.1〜0.3(0.1は最も良い棟の記録)
耐震・制振 耐震等級3に加え、制振ダンパー「evoltz」を採用
第三者評価 ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー 12年連続受賞

外部の評価もお伝えしておきます。断熱・気密・耐震・制振の4項目について、制振ダンパーメーカーのevoltz社が全国6,366社を数値化した調査で、当社は1位の評価をいただきました(同社調べ/2025年11月時点)。ただしこの評価は、最高グレードの仕様が前提です。G3より下のグレードもありますので、一番良いところだけを取り出して語るつもりはありません。

空間づくりの面では、国際的なデザイン賞であるIDA(International Design Awards)の2025年に、インテリア分野で金賞をいただいています。ホテルの家具や照明の考え方も、この延長線上にあります。

モデルハウスは山形(平清水)・南陽(赤湯)・福島(太平寺)の3拠点です。ホテルで空間を確かめ、モデルハウスで性能を確かめる。順番はどちらからでも構いません。

この記事のまとめ

  • 当社は山形県内で2軒のホテルを、設計・施工から運営まで自社で手がけている
  • 動機は「泊まれる展示場・泊まれる家具屋」。家具と照明は写真といちばん印象が変わるため
  • 飯豊(2016年開業)は自然のなかで「リゾートに、住まう。」を、米沢(2022年開業)は無人運営とジャグジースイートが特徴
  • 泊まって分かるのは素材・家具・照明・寸法感。間取りと断熱性能は分からないので、性能はモデルハウスで確かめる
  • 飯豊は人口6,000人の町。地方を上質なリゾートとして捉え直す「クールローカル」の考えは住宅設計にも通じている

よくある質問

住宅の検討中でも、ホテルに宿泊できますか?

もちろんご宿泊いただけます。通常の宿泊施設として営業していますので、家づくりの検討状況にかかわらずご利用いただけます。空室状況と料金は、飯豊・米沢それぞれの予約ページでご確認ください。宿泊のあとに家づくりのご相談をいただくことも、その逆も歓迎しています。

ホテルに泊まれば、断熱性能や気密性能も体感できますか?

性能そのものの体感は、ホテルよりモデルハウスをおすすめします。ホテルで確かめられるのは、素材の質感、家具の座り心地、照明の色、空間の寸法感といった部分です。断熱と気密が効いている実感(冬の朝の空気、脱衣所との温度差など)は、住宅として建てた建物でこそ分かります。UA値やC値といった数字についても、モデルハウスで設計担当がご説明します。

米沢のホテルはフロントがないと聞きました。不便ではないですか?

米沢はフロントを置かない無人運営です。地方で宿泊業を続けながら施設の質を保つための形として選んでいます。チェックインの方法など具体的な手順は予約ページのご案内に従ってください。対面で家づくりの相談をされたい場合は、無人のホテルではなくモデルハウスへお越しいただくのが確実です。

客室の家具や照明は、実際に自宅にも採用できますか?

ホテルの家具・インテリアは、当社と Gino FURNITURE & LIFESTYLE が全面プロデュースしています。気に入ったものがあれば、住宅の打ち合わせのなかでご相談ください。同じ品番をそのままお入れできるかは商品によって異なりますが、質感や色の方向性を共有できると、打ち合わせが一気に早くなります。「あのラウンジのソファの座り心地が良かった」という具体的な出発点があると、提案の精度が上がります。

空間はホテルで、性能はモデルハウスで。どちらからでもお試しください

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お電話:0120-480-046(8:30〜20:00)

この記事を書いた人|インテリアコーディネーター

長岡 紗夕望

2級建築士/インテリアコーディネーター/ライティングコーディネーター/窓装飾プランナー/整理収納アドバイザー。設計課所属。住宅の空間デザインや照明、造作家具の設計など、内装デザインの提案を行う。

※本記事の情報は2026年7月時点です。宿泊施設の客室・設備・予約方法は各ホテルの公式サイト(飯豊米沢)の情報に基づきます。料金・空室状況は変動するため各予約ページでご確認ください。当社の性能数値のうち、断熱は最高グレードでの水準、気密はこれまでの気密測定の実測レンジです(選択するグレードや仕様により異なります)。全国6,366社を対象とした4項目(断熱性能・気密性能・耐震等級・制振部材の有無)の調査はevoltz社調べ・2025年11月時点のものです。最新は公式・当社でご確認ください。

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