家づくり
用途地域で見る理想の暮らし
皆様はご自分の家や職場がある場所は、用途地域によって決まっていることをご存じでしょうか?
ご自分が住んでいる地域を想像してみてください。住宅、商業施設、工場、公園など、様々な用途の建物があると思います。もしこれらが混在していたらどうなるでしょうか。混沌とした空間となってしまい、生活やビジネスに支障がでてきますよね。そこで非常に重要になってくる情報が「用途地域」です。
今回のコラムでは、お家を建てる際も土地をお求めの際にも必ず出てくる「用途地域」について解説していきます。
目次
用途地域とは
用途地域で定めていること
用途地域を確認する重要性
最後に
用途地域とは |
「用途地域」とは、住宅地、商業地、工業地、農業地など、土地の利用目的によって区分けされた地域のことを指します。都市空間をバランスよく整備するために欠かせない重要な要素であるため、建築物の形状や使用目的に制限を設けています。
実は私たちの身近なところで影響を与えています。例えば、住宅地域には住宅が建設され、そこに住む人々が暮らしています。商業地域には、買い物や飲食、オフィスで働く人々が集まります。工業地域には、製造業が集積し、商品の生産に携わっています。
つまり、私たちが快適かつ安心して暮らしていけるよう、各自治体が地域ごとのルールを決めているというわけです。
用途地域で定めていること |
用途地域では、以下の3つについて制限を設けています。
1,建築できる建物の種類
用途地域には13の種類があります。1つ1つ解説したいところですが、今回は最も制限が厳しいとされる「第一種低層住居専用地域」と、その対極にある「工業専用地域」を例に挙げます。
まず、第一種低層住居専用地域は、小規模な住宅、小学校や中学校、診療所、寺院などが建築できる地域です。高さ制限があるため、背の高いマンションは建てることができません。そして、工業専用地域は、工場や倉庫などの産業施設を建設することができる地域です。生産工程に必要な騒音や振動、匂いなどの影響が周辺環境に与えることが許容されています。そのため、住宅や学校、病院、ホテルなどは建てることができません。
2,建ぺい率・容積率
建ぺい率とは、敷地面積に対して建物が占める面積の割合を表す指標のことです。容積率とは、建物が占める土地の面積に対して、建物の容積がどの程度まで許容されるかを表す指標のことです。分かりやすく下の図を見てみましょう。
例えば、建ぺい率60%・容積率100%の敷地面積100㎡の土地があるとします。この場合、建物が土地に面して良い面積は60㎡(建ぺい率)、建物の総床面積は100㎡まで(容積率)となります。
3,高さ制限
高さ制限とは、地域の特性や景観、衛生、安全性等を考慮した建物の高さの上限設定のことを指します。北側斜線制限、隣地斜線制限、絶対高さ制限、道路斜線制限の4種類ありますが、いずれの制限も、建築物が地域の環境や景観との調和や、日当たり、風通しをよくするために設けられています。
以上のような制限を設けることで、土地の有効活用や緑の空間、快適で安心安全な暮らしの確保につなげています。
用途地域を確認する重要性 |
ここまで簡易的に「用途地域」の概要について解説しました。用途地域の確認は、自分の理想の暮らしができる地域か判断につながります。上記で挙げたように、私たちの住む地域は区分され、地域にあった暮らし方のルールが定められています。
例えば、検討している場所の用途地域が「第一種低層住居専用地域」である場合、高さ制限があるため、建物の高さにある程度の規制がかかります。2階建ての住宅は基本的に問題ありませんが、土地に対する建物の配置によっては建物の形が変わる可能性があります。ですが、街並みが綺麗で住宅が建ち並ぶ地域ですので、人目があり、お子さんが安心して通学できると考えることができます。もし、ビルや背の高いマンションが建ち並ぶような地域は避けたい!圧迫感を感じないところが良い!という場合は、用途地域が第一種低層住居専用地域に該当するエリアが理想に近いかもしれませんね。
最後に |
いかがでしょうか。このように、用途地域を確認することで建てられる建築物の種類や、周辺環境を知ることができます。
住宅会社や不動産会社への相談や、国土交通省や市町村のサイトにて確認することができますので、是非チェックしてみてください!
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執筆者プロフィール |
吉村 亮祐
2級建築士。住宅省エネルギー設計技術講習。省エネ建築診断士。ライティングコーディネーター。
2015年入社。設計提案部所属。図面や土地提案、住宅ローン等、お家づくりにおけるお客様のトータルサポートを行う。