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福島市で注文住宅を建てるなら|雪が少ない街の土地選びと断熱
「福島市は、そんなに雪が積もらないので」。福島市で土地を探しているお客様から、よくそう言われます。実際そのとおりです。市街地は、建築基準法上の「多雪区域」にも入っていません。
ただ、その一言のあとに続く判断が、ときどき危うい方向へ進みます。雪が少ない、冬もそこまで寒くない、だから家の性能はほどほどでいい——という流れです。
この記事では、福島市という土地の条件を気象庁と市の公表値で確認したうえで、土地選びと断熱でどこが分かれ目になるのかを整理します。当社が福島市太平寺にモデルハウスを構えている立場から、現場で実際に効いてくることだけを書きます。
なぜ福島市で家を建てるのか|立地と土地の値段
福島市は、人口およそ26万人・約12万5千世帯の県都です(令和8年4月末時点・福島市公表)。福島盆地の中にあり、西に吾妻連峰、東に阿武隈高地という、山に挟まれた地形をしています。
家を建てる場所として見たときの福島市の強みは、はっきりしています。交通の結節点であることと、土地が手に届く値段であることの2つです。
東北のなかでは珍しい、路線の集まる街
福島駅には、東北新幹線と山形新幹線、東北本線、奥羽本線、それに福島交通飯坂線と阿武隈急行線が乗り入れています。山形新幹線が東北新幹線から分かれるのがこの駅です。
高速道路も同じで、東北自動車道の福島西インターと福島飯坂インター、福島松川スマートインター、さらに東北中央自動車道の福島大笹生インターがあります。仙台にも山形にも車で出やすい位置です。
仙台への通勤・通学を視野に入れて福島市に土地を探す方は、実際にいらっしゃいます。新幹線なら仙台まではごく短時間です。ここでは分数を断定しませんが、通える距離だという感覚は持っておいて構いません。
土地の値段は、仙台のおよそ4割
令和8年の地価公示で、福島市の住宅地の平均は1平方メートルあたり51,400円でした。前年から1.0%の上昇です。福島県全体では38,000円(+0.4%)で、県都である福島市は県平均より3割ほど高い水準にあります。
同じ年の仙台市の住宅地は135,700円。福島市は、その4割ほどの水準にあたります。
坪数に直すと、もっと実感が持てます。福島市の平均で50坪(約165平方メートル)なら約850万円、60坪(約198平方メートル)なら約1,020万円という目安です。
ただし公示価格は標準地の平均値なので、実際の売買価格とは差が出ます。市内でも地区によって幅があるため、目安として持っておいてください。
この章のポイント
新幹線で仙台に出られる距離にありながら、土地の価格は仙台市の4割ほど。平屋も検討できる広さを現実的な予算で確保できるのが福島市の強みです。土地に使う金額を抑えられるぶん、建物の性能とデザインに予算を回しやすくなります。
土地が手頃だというのは、東北で家を建てるときの構造的な特徴でもあります。東北と全国の建築費の差より、土地代の差のほうがずっと大きい。そのあたりは注文住宅の相場と総額の内訳で公的データを分解しているので、予算の組み立てを考えている段階の方はあわせて読んでみてください。
数字で見る福島市|雪は少ないのに、夏は会津より暑くない
ここからが、福島市で家を建てるときにいちばん誤解されやすいところです。同じ福島県のなかで、福島市と会津若松市を並べてみます。気象庁の平年値(1991〜2020年)です。
| 項目 | 福島市(中通り) | 会津若松市(会津) |
|---|---|---|
| 年間降雪の深さ合計 | 122cm | 328cm |
| 1月の平均気温 | 1.9℃ | -0.3℃ |
| 1月の平均最低気温 | -1.5℃ | -3.4℃ |
| 8月の平均最高気温 | 30.5℃ | 30.8℃ |
| 年平均気温 | 13.4℃ | 12.0℃ |
冬の差は、はっきりしています。会津若松市の降雪量は福島市の2.7倍。1月の平均気温も2℃以上低い。同じ県内でも、冬は別の地域だと言っていい違いです。
ところが夏を見ると、その差が消えます。8月の平均最高気温は福島市30.5℃、会津若松市30.8℃。ほとんど変わりません。
浜通りはまた別で、いわき市小名浜の1月の平均気温は4.1℃、8月の平均最高気温は27.9℃です。海沿いは冬が暖かく、夏も福島市ほど上がりません。
冬のことばかり考えて打ち合わせを進めていたら、最初の夏に「二階がこんなに暑くなると思わなかった」と言われたことがあります。盆地の夏は、思っているより手強いです。
つまり福島市は、県内で見れば「冬は会津よりずっと楽なのに、夏の暑さだけは会津と変わらない」街です。年平均気温が高いのは、盆地に熱がたまるから。雪の少なさと夏の暑さは、同じ地形から来ています。

断熱は、冬のためだけの装備ではない
断熱と聞くと、多くの方が冬を思い浮かべます。ただ、外の熱を家に入れないのも断熱の仕事です。夏に30℃を超える日が続く福島市では、その働きがそのまま体感に出ます。
そしてもう一つ、知っておいていただきたい数字があります。省エネ基準の地域区分で、福島市の市街地は「5地域」です。同じ福島県でも会津若松市と白河市は4地域ですから、県内では暖かい側の区分になります(郡山市といわき市は福島市と同じ5地域です)。
ここで「5地域なら基準もゆるいのだろう」と考えたくなります。ところが、民間の断熱基準であるHEAT20の最上位「G3」が求めるUA値は、4地域も5地域も同じ0.23です。暖かい区分だからハードルが下がる、という関係にはなっていません。
地域区分は市役所の所在地を基準に決められています。同じ福島市でも、標高の高い山側は市街地より明らかに寒い。土地が決まったら、その場所の条件で考え直す必要があります。
UA値やC値といった数字そのものの読み方は、高気密・高断熱をUA値とC値で読むで詳しく書いています。性能の話を数字で理解しておきたい方は、そちらを先に読んでいただくと以降の話が早いはずです。
「福島市は雪が少ない」の落とし穴
雪の話に戻ります。ここは、福島市の土地を選ぶうえで実務的にいちばん効いてくる部分です。
建築基準法には「多雪区域」という指定があります。指定された区域では、屋根にかかる雪の重さを重く見積もって構造計算をしなければなりません。雪の重さは、屋根と柱と基礎の設計をまとめて左右します。
大部分は指定外、けれど市内に多雪区域がある
福島市は、市街地を含む大部分が多雪区域の指定を受けていません。その区域の垂直積雪量は50センチメートル、積雪の単位重量は1平方メートルあたり20ニュートンです。
ただし、話はそこで終わりません。福島市内にも、多雪区域に指定された地区があるからです。ここを見落とすと、土地を買ってから前提が変わります。
- 土湯温泉町、飯坂町茂庭および李平
- 大笹生、佐原、飯坂町中野、町庭坂、在庭坂および桜本のうち、標高400メートル以上の区域
これらの区域では、垂直積雪量が1メートル、単位重量は30ニュートンになります。市街地の倍の雪を見込んで構造を組むということです(福島市「建築基準法に基づく構造計算に必要な指定数値」2026年4月24日更新)。
飯坂や土湯に土地を探す方は珍しくありません。温泉があり、景色がよく、価格も市街地より抑えられるからです。その魅力は本物です。ただ、同じ市内でも構造計算の前提が変わる場所がある、という事実は先に知っておいてください。
土地を見に行く前に確認すること
候補地が多雪区域に入るかどうか。入るなら、屋根の形と雪の落とし先を設計の最初から考える必要があります。標高400メートルという線引きがある以上、「飯坂だから」ではなく番地単位で確認するのが確実です。
もう一つ付け加えると、指定外の区域だからといって雪が降らないわけではありません。年間122センチメートルという降雪量は、雪を見込まない設計をしていい量ではない。駐車場の除雪スペースや玄関前の雪の行き場は、市街地の土地でも配置計画に入れます。
エリア選びの視点|市街地・山側・IC寄り・川沿い
福島市は広い市です。同じ「福島市内」でも、条件はかなり違います。土地を見るときの観点を4つに分けて整理します。
市街地・駅寄り
福島駅周辺は、生活の利便性と通勤のしやすさが最も高いエリアです。そのぶん土地の価格は市内で高い側になり、区画も広くはありません。延床を確保したい場合は、二階建てで計画するのが素直です。
山側(飯坂・土湯ほか)
景色と環境の良さが際立つエリアです。一方で、前章のとおり多雪区域に入る地区があり、市街地より気温も低くなります。断熱をどこまで上げるかの判断が、市街地の土地より重くなる場所だと考えてください。
インター寄り
福島西・福島飯坂・松川スマート、そして大笹生といったインター周辺は、車移動を前提にした暮らしと相性がいいエリアです。仙台や山形へ出る頻度が高いご家庭なら、駅までの距離より高速へのアクセスのほうが効いてくるはずです。
川沿い・低地
福島市は「ハザードマップ」を公開しています。水害や土砂災害の危険度を、地図の上で色分けしたものです。洪水は阿武隈川・荒川・松川が対象。土砂災害のマップは別に用意されていて、山側には警戒区域の指定もあります。
これらは福島市の公式サイトと、市の地図サービス「ふくしまeマップ」で誰でも確認できます。土地の契約前に、候補地の住所で調べてみてください。
見る目的は、危ない土地を除外するためというより、その土地でどう建てるかを決めるためです。浸水の想定がある場所なら基礎の高さや電気設備の位置を変える、という判断につながります。

福島は、平屋が現実的な県です
総務省の住宅・土地統計調査(令和5年)によると、福島県の一戸建て51.3万戸のうち平屋は8.99万戸で、17.5%を占めます。全国平均は11.4%ですから、福島県は全国的に見ても平屋の多い県です。
土地に余裕を取りやすく、市街地なら屋根の雪を重く見込む必要もない。平屋を現実的に検討できる条件が揃っています。身近に平屋の実例が多いぶん、イメージも持ちやすいはずです。
平屋と二階建てのどちらを選ぶかは、敷地・費用・冬の体感・雪と地震の順に考えると答えが出ます。判断の順番は平屋と二階建て、東北ならどっちにまとめました。
正直に話したい、お金と土地の話
ここからは、あまり気持ちのいい話ではない部分も書きます。土地を決める前に知っておいたほうがいいことです。
土地は「値上がりする資産」として買わないほうがいい
福島市の住宅地は令和8年に1.0%上がりました。上がってはいます。ただ、福島市の人口は緩やかに減っています。
市の集計では、令和5年の転入が8,360人に対して転出が8,824人で、464人の社会減でした。中心になっているのは20代の県外流出です。進学や就職で出ていく層が多いということです。
この状況で、土地を将来の含み益として見込むのは無理があります。そうではなく、これから何十年か自分たちが暮らす場所として選ぶ。そう割り切ったほうが、土地選びの判断は健全になります。
補助制度は、必ず自分でその年度を確認する
福島市には、新生活を始める世帯を支援する「結婚等新生活支援事業補助金」があります。令和8年度も受付があり、上限は30万円です。年齢や所得の要件が細かく決まっています。
福島県にも、18歳未満のお子さんがいる世帯が多世代で同居・近居する場合の支援制度があり、こちらは上限40万円です。予算枠があり、募集期間も限られます。
住宅関連の補助制度は、年度ごとに金額も要件も受付期間も変わります。この記事に書いた内容も、必ずご自身で市・県・国の公式ページを確認してください。国の新築向け支援も年度で制度が入れ替わるため、着工時期の話とセットで考える必要があります。
雪が少ないぶん、予算の逃げ道は少ない
これは福島市ならではの、少しひねくれた話です。豪雪地では「雪のための費用」が最初から予算に組み込まれます。屋根の形、除雪、外構。全部、避けて通れない項目として見積もりに乗ります。
福島市の市街地では、その前提がゆるみます。結果として、性能に使うはずだった予算が他に流れやすい。設備のグレードや内装に回して、断熱と気密が後回しになる。この順番の入れ替わりを、当社は何度も見ています。
家の性能は、あとから足せません。断熱材も窓も、建ててしまえば入れ替えるのに大きな費用がかかります。一方でキッチンや照明は、暮らしながら変えていける。優先順位を決めるなら、先に戻せないほうから固めるのが理にかなっています。
地震は、雪と無関係に備える
雪の少なさは、地震の少なさを意味しません。構造の話は雪の量とは別の軸で考える必要があります。耐震等級と制振の関係は制振ダンパーと耐震等級3で整理しているので、構造をどこまでやるか迷っている方はそちらもご覧ください。
福島にモデルハウスがある会社として
当社は福島市太平寺にモデルハウスを構えています。南福島総合住宅公園のとなりです。ご見学は予約制ですので、来場の前にご連絡ください。
この記事に書いてきたことは、図面や数字の上の話ではありません。市街地の土地と飯坂の山側で設計の前提がどう変わるのか、5地域という区分が実際どういう冬になるのか。そういう話は、福島市で実際に建ててきた担当者がその場でお答えできます。
当社の性能の考え方
当社は断熱を最高グレードでHEAT20のG3に対応させています。最高グレードのUA値は0.18です。福島市が属する5地域のG3水準は0.23ですから、それを上回る数字になります。
気密は、これまでで最も良い棟がC値0.1という記録です。
構造は耐震等級3に対応。加えて制振ダンパー「evoltz」で、揺れそのものを減らす二段構えにしています。省エネ性能については、ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジーを12年連続で受賞しました。
参考までに、外部からの評価も一つご紹介します。当社は断熱・気密・耐震等級・制振部材の有無という4項目について、制振ダンパーメーカーのevoltz社が全国6,366社を数値化した調査で1位の評価をいただいています(同社調べ/2025年11月時点/最高グレード仕様での評価)。
どの水準を狙うかは、土地の条件とご予算に合わせて決めていきます。福島市の市街地と飯坂の山側では、同じ答えにはなりません。

この記事のまとめ
- 福島市の年間降雪量は122cm。会津若松市の328cmと比べると3分の1ほどで、冬は県内でも楽な側(気象庁平年値)
- 一方、8月の平均最高気温は30.5℃で、会津若松市の30.8℃とほぼ同じ。断熱は夏の性能としても効く
- 市街地を含む大部分は多雪区域外(垂直積雪量50cm)だが、土湯温泉町・飯坂町茂庭・李平と、大笹生ほか標高400m以上の区域は多雪区域(1m)
- 省エネ地域区分は5地域(会津若松市・白河市は4地域)。ただしHEAT20 G3のUA値は4地域と同じ0.23で、基準が緩むわけではない
- 住宅地の地価は51,400円/㎡で仙台市(135,700円)の4割ほど。新幹線で仙台に出られる距離のまま、平屋も検討できる広さを確保しやすい(50坪で約850万円が目安)
よくある質問
福島市は雪が少ないので、雪対策は考えなくていいですか?
市街地は多雪区域の指定外ですが、年間の降雪量は122cm(気象庁平年値)あります。除雪した雪の置き場所や駐車場の使い方は、配置計画の段階で決めておくべきです。また土湯温泉町や飯坂町の一部、標高400m以上の区域は多雪区域に指定されており、構造計算の前提が変わります。
福島市は5地域なので、断熱はそこまで必要ないのでは?
HEAT20のG3が求めるUA値は、4地域も5地域も同じ0.23です。地域区分が暖かい側でも上位基準のハードルは下がりません。加えて福島市は8月の平均最高気温が30.5℃で、会津若松市の30.8℃とほぼ同じです。断熱は夏の暑さを防ぐ役割も担います。
福島市の土地は、仙台市と比べてどのくらいの価格ですか?
令和8年の地価公示による住宅地の平均は、福島市が1平方メートルあたり51,400円、仙台市が135,700円です。福島市は仙台市の4割ほどの水準で、新幹線で仙台に出られる距離を保ちながら土地に使う額を抑えられます。坪数に直すと50坪で約850万円、60坪で約1,020万円が目安です。ただし公示価格は標準地の平均値なので、実際の売買価格や市内の地区差とは差が出ます。
福島市で平屋は建てられますか?
福島県は一戸建てに占める平屋の割合が17.5%と、全国平均の11.4%より高い県です(総務省・令和5年)。土地に余裕を取りやすく、市街地なら屋根の雪を重く見込む必要もないため、平屋は現実的な選択肢です。敷地の広さと予算の配分から判断していきます。
※本記事の情報は2026年9月時点です。気象データは気象庁の平年値(1991〜2020年・福島/若松/小名浜)、地価は令和8年地価公示の住宅地、多雪区域と垂直積雪量は福島市「建築基準法に基づく構造計算に必要な指定数値(積雪荷重等)」、平屋の割合は総務省「住宅・土地統計調査」(令和5年)によります。補助制度は年度ごとに内容が変わります。最新は公式・当社でご確認ください。


